フィンランド国防軍

国家安全保障を支える、 堅牢なAI戦略の構築

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Summary

Reaktorはフィンランド国防軍とのパートナーシップにより、同軍の人工知能(AI)活用に関する戦略的な方向性の策定を支援しました。この協力で策定された方針は、フィンランドの防衛分野におけるAI活用のガイドラインとなっています。

Reaktorの分野横断的な専門家チームが、AIの技術的・法的・社会的な可能性と課題について、フィンランドの国家安全保障を担う最高レベルの関係者を支援しました。


Highlights

迅速な戦略プロセス

インタビュー、ワークショップ、調査、技術的知見を組み合わせた4ヶ月間の戦略策定

戦略的ガイドライン

フィンランド国防軍におけるAIソリューション開発のための指針

AI倫理モデル

AIを活用した防衛における倫理的課題を検討するフレームワーク

調査結果の文書化

調査結果、将来像、提言をまとめた包括的な報告書

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AIは戦力増強要因 (Force Multiplier)

継続的な開発を実現するベストプラクティス

AIと機械学習による戦略的なデータ活用は、現代においてパフォーマンスを飛躍的に向上させる大きな可能性を秘めています。これらの革新的な技術の軍事分野での活用例は、後方支援業務から最前線の作戦活動にまで及びます。

能力を高める敵対勢力や競争相手に対し、信頼できる抑止力を維持するためには、フィンランドは防衛力全体のデジタル対応能力を継続的に向上させる必要があります。信頼できる防衛力を維持するには、データの安全な保管・分析・配布を支える技術インフラと、AIソリューションの開発・導入が不可欠です。

テクノロジーの力は、短期的に見ると過大評価されがちですが、長期的に見ると過小評価されていることが少なくありません。現状、AIを活用した防衛は、自律型兵器システムや画期的な発見といった段階には至っておらず、主にインテリジェントな支援機能にとどまっています。しかし将来的には、AIが私たちの想像を超える形で防衛のあり方を変革する可能性を秘めているのです。

AIの可能性を最大限に引き出す方法を検討するため、フィンランド国防軍はReaktorとの協力を決断しました。Reaktorのチームは、AI、デザイン、そしてユーザー中心主義において、業界トップレベルの専門知識と学術的な知見を兼ね備えています。

 

「AIの可能性を最大限に引き出す方法を検討するため、フィンランド国防軍はReaktorとの協力を決断しました。Reaktorのチームは、AI、デザイン、そしてユーザー中心主義において、業界トップレベルの専門知識と学術的な知見を兼ね備えています。」

Jarkko Karsikas

フィンランド国防軍 CDO (Chief Data Officer)

AIの倫理

厳しい評価にも耐えうる指針

AIがもたらす脅威と可能性についての議論を通じて、倫理、透明性、そしてそれらを規定する方針の重要性が真剣に受け止められました。

一般的に考えられていることとは異なり、現在利用・開発されているAIアプリケーションの多くは、厳しい評価基準を満たすものです。Reaktorは、様々なAI活用例における倫理的側面を整理・分析し、政策指針の強固な基盤となるモデルを開発しました。

このモデルによれば、防衛分野におけるAIアプリケーションの多くは、機密情報を扱う他の管理ソフトウェアと同様に、差別の防止や意思決定の透明性といった点で、同レベルの法的・倫理的配慮が求められるに過ぎません。次に、より複雑な応用例が存在するグレーゾーンもあり、これらには徹底した倫理的・法的検討と議論が必要です。そして最後のグループ、最も懸念されるのは「致命的自律型兵器システム(LAWS: Lethal Autonomous Weapon Systems)」と呼ばれるもので、EU(欧州連合)はその国際的な禁止を提唱しています。

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継続的に学び、段階的に導入する

AI活用を目指す組織は、しばしば「すべてを解決する唯一の巨大データ」や「万能のアルゴリズム」を待ち望む傾向にあります。しかし、この姿勢は取り組みの足かせとなる可能性があります。重要なのは、膨大な(ビッグ)データではなく、”十分な大きさ” のデータなのです。小規模なプロジェクトから着手し、段階的にAIを導入すること、そしてデータを柔軟に活用できる環境を整えることが鍵となります。どのようなペースであれ、前進し続けることが重要です。

未来を正確に予測することは不可能ですが、変化やイノベーションに対応できる能力を開発しておく必要があります。そのため、今回の戦略策定では、アジャイルな開発プラクティス、そして継続的な学習と柔軟な調達体制の構築に重点を置きました。内部能力の強化と外部パートナーとの連携、双方を促進する手法を開発したことで、迅速な対応が求められる「いざ」という時にも、フィンランド国防軍は即応できる体制を整えています。

「Reaktorの持つ包括的な視点は、我々の専門知識を補い、議論をより広い文脈へと広げてくれました。彼らは我々の思考を刺激し、明確化するのを助け、アジャイルかつ継続的に開発を進めるという考え方を浸透させてくれたのです。」

Jarkko Karsikas

フィンランド国防軍 CDO

Reaktorの貢献

  • ワークショップの企画・運営
  • 戦略的、学術的、技術的な知見の提供
  • ワークショップと調査に基づく戦略方針の策定
  • 結論をまとめた50ページの詳細レポート作成
  • 一般公開用の簡潔な方針声明書の作成
  • AIとその主要な論点に関する入門トレーニング資料作成